べっさん

白山本峰から南へ約5キロ、
別山はいつでもひっそりとしています。ゴールデンウィークの混雑を避け、静かな別山でひとり遊んできました。
2年前にここを訪れた時、時間の都合と「ひとり」ということでやり残してしまいました。
昨年何とかしようとしたのですが、天気に恵まれずドロー。「今年こそ!」と意気込んでいました。が、一夜の宿となる「チブリ尾根避難小屋」の改装工事に伴い5〜9月迄使用禁止との情報を連休直前に知り大慌てで白山に向かいました。

4/29
AM.8:00 市ノ瀬出発。
歩き始めた途端にポツッと雨粒が落ちてきて、予想はしていたもののやはり気が滅入ってしまいます。大降りだけは何とか避けたいのですが、ときおりザザーッときて沈んだ気持ちがより一層重たくなります。「下に降りて温泉!」何度もくじけそうになり、そのたびに「2年越しの目標だから」と自分に言い聞かせなければなりません。
雨の中の登り
最近、「ひとり」で登ることが
とても辛くなってきました。
ここ数年、友達に計画してもらう「おまかせ登山」ばかりですっかりたるんでいるのす。
使い古し変色した地図を雨で濡らし、百円均一の老眼鏡では読みとれず、つくづくイヤになってしまいました。
小雨に煙るチブリ尾根
チブリ尾根避難小屋
PM.1:00 チブリ尾根避難小屋着。
憂鬱な雨から解放され、まず一安心です。4人の先客に軽い会釈をして濡れ物の手入れをします。衣類は着たまま乾かすしかなく、体を休ませているのですがくつろげません。
日没前に皆の夕食が始まり、私のメニューはラーメンとアルファー米雑炊。アッという間に終わってしました。さみしい献立ですが、一人ではいくらも食べられるものではありません。明日に備え早めに床に着きました。今回軽量化の為シュラフは使わず、ダウンの上下とシュラフカバーとの組み合わせにしました。小屋の標高が1900m位で日当たりが良く、この時期周囲の雪が消えています。少々寒くても一晩だけの事ですから我慢すれば良いことです。もちろん体調を崩した時はかなり辛いことになりますが・・・。

天気予報では明日はガチガチのピーカン!
降り続く雨の中、静かに目を閉じました。

チブリ尾根避難小屋

4/30
 夜明けにどうにか雨が上がり、今回の目的である箱谷の滑降ができそうです。
大長山 AM.7:30 避難小屋出発。
まず箱谷滑降のスタート地点である別山まで登らなくてはなりません。御舎利山までチブリ尾根を辿ります。
小屋を出てすぐのちょっとしたコブの登りで5mほど滑り落ちてしまいました。ここでやっと今日は一人だということを思い出しました。特に何も考えず歩き出していましたが、ちょっとしたミスが大変なことになるかもしれません。クトーを装着し再び登り出しました。
小屋の方を振り返ると、その向こうに大長山(おおちょうさん)が優雅に浮かび上がっていました。不確かですが、大長山は白山御前峰(主峰)に対峙した頂ということで応頂と書いたそうです。
朝のチブリ尾根避難小屋と大長山
白山御前峰
御舎利山からの白山御前峰(中央)
AM8:30 御舎利山着。
一気に360度全視界が開けました。昨日の雨の憂鬱は爪の先ほどもありません。 北に白山本峰、東方に立山・穂高の北アルプス、乗鞍はもちろん御岳も、
全ての白い頂が「おはよう!」と挨拶をしてくれました。
北アルプス
立山・槍穂高・乗鞍
御岳
私は白山が一番好きな山です。その姿・形はおとなし過ぎるくらい柔らかであまり目を引くようなところはありません。標高も御前峰(最高峰)で2702.2mと今ひとつです。そしてアプローチが難しくひとりで縦走することは大変です。しかし、その静かさ・素朴さ・清潔さが大好きです。初めて白山に登った時などは、アメの包み紙ひとつさえ見つけることはできませんでした。(近年すこしゴミが目立つように思います。残念!)私の好きな白山がメジャー入りしないことはなんだか寂しいのですが、人気になって人が増え、傷つき汚れてしまうよりは良いかもしれません。
御岳
AM.9:00 別山(2399.4m)着。
御舎利山からは殆ど登りらしいことはなく別山に到着します。今回の目的は2年前滑り残した箱谷左俣滑降です。この辺りは白山本峰に比べ訪れる人も少なく、何かあっても誰も頼りにできません。危険箇所はないと思いますが慎重に行動しなければなりません。もう少し箱谷滑降のスタートを遅らせ斜面が柔らかくなるのを待つ間、早くから日が当たっている別山南面カラスの谷を一本滑ることにしました。
別山頂上直下には鋭く切り落ちた大平壁があり、その下にはいつもクレッターができていて注意しなければなりません。その為ピークから東へコブをひとつ越え滑降開始地点を移動します。雪は少し緩んで丁度良い状態です。300m程滑り降りもう一度別山頂上へ登り返します。もう少し行けそうですが目的は箱谷です。本番前の足慣らしとしては上々でした。

AM.10:50 別山頂上着。
AM.11:20 箱谷左俣滑降スタート。
別山で休息後、いよいよ箱谷滑降開始です。別山には何度か来たことがありますが、ここからスキーをする人を見たことはありません。もちろん大きなスキーフィールドではなく、ダイナミックさには少し物足りないところがあります。日帰りの場合、長い登りの割には滑降距離は大したことがありません。しかしとってもきれいな谷で、なんとか自分のシュプールを刻んでみたかったのです。

箱谷上部
周囲には誰もいません。
緊張が高まり硬くなります。
静かにスタートしました。
心配していましたが斜面はすでに凍っておらず、もう30分早いスタートでも良かったようです。左の写真《シュプールをやや強めにレタッチしています。》では緩やかに見えますが、少し強めの角度があります。一気に150m程滑り降りました。
いつもならば5回程ターンをすると一息入れなければ滑り続けることができないのですが、あまりに状態が良いので、途中で滑りを止めることができず、足の限界までターンを続けました。
素晴らしい斜面です。
箱谷左俣上部
枝沢出合い付近
箱谷はそこから角度を緩め右にカーブしていきます。雪質がやや重くなりましたが、気にする程ではありません。 快適です。やがて右側にこの左俣の枝谷と出合います。ここが今回の箱谷滑降終了地点です。わずか350mの短い滑降であり、一日の目的とするには物足りないものかもしれませんが、私には充分満足できるものでした。休息後さきの枝沢を別山の東稜線へ登り返しました。だいぶ雪がゆるんできましたが、登り辛い程ではなく快適でした。
枝沢出合い付近より
別山・箱谷上部
別山の東稜線手前で今滑り降りた箱谷が見え出しました。自分のシュプールが一本だけ付いています。小さな誰も気に留めない谷ですが、今日この谷をひとりじめできたような気がして、やはりニンマリとしてしまいます。
別山東稜線よりの箱谷左俣
箱谷・白水湖が小さく見える
PM.0:35 別山頂上着。
今日3回目の別山頂上です。目的を果たしゆっくり休憩しました。
別山・御舎利山をスタート地点にしてまだ何本かショートコースが考えられますが、限られた時期だけのささやかなダウンヒルになってしまいそうです。そして必ず登り返さなければならず、合理的に行動するにはもっと研究しなければなりません。
別山頂上直下よりの箱谷全景(遠く白水湖が見える。)
PM.1:40 チブリ尾根避難小屋着。
御舎利山から小屋までも快適な滑降が続きます。もう今日は市ノ瀬へ下山しなければなりません。なごり惜しく御舎利山・別山を振り返り小屋を後にしました。下山コース途中1200m辺りからトラバース気味に行かなければならないのですが、スキーを外すのが面倒でつい残り少なくなった雪を追いかけてしまい、100m程降り過ぎてしまいました。仕方なく登り返しましたが、最後の最後にとんだアルバイトになりました。

PM.4:30 市ノ瀬着。

別山・白山本峰
初日は憂鬱な雨降りでしたが、
我慢した甲斐があり、
箱谷滑降を素晴らしい日に実行でき幸運でした。
別山から見る白山本峰